鷹鹿よもやま話
ネットの浅瀬、とある石の裏側より

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No.66

春のルディリア小話『花弁のような君の薄紅』草案冒頭
#得ざるものども文章進捗

 白と薄紅の小さな花々が咲きこぼれるアーモンドの木立は、本格的な春の到来を祝う人々の浮足立つ心を映す鏡なのかもしれない。ポリアンサパークの一角には十数本のアーモンドの木が植えられていて、この季節には花見に訪れる人が少なくない。家族や友人と、はたまた一人静かに。春風に揺れる木々を見上げる見物客たちの表情は、みな一様に穏やかだった。
 そこから少し離れたところで、和やかな場に似つかわしくない掛け声を上げながら、右へ左へと奇妙な動きを繰り返しているのはフリアン・カレスティアだ。鼻息荒い彼の奮闘はかれこれ5分ほど続いていた。奮闘といってもなんのことはない、風に乗って舞い落ちてくる花びらを自分の手で取ってやりたい、ただそれだけのこと。しかし、あふれんばかりの気合に反して、小さな勝利をその手につかむ瞬間は終ぞ訪れそうにもない。まるで風と花びらに遊ばれているとしか思えないほど、その骨ばった小さな手は空ばかりつかまされ続けていた。
 必死に腕を伸ばそうとするあまり、つんのめって片足バランス立ち。突然花びらが目の前に現れ、驚きのあまりその場で2回転。不規則な軌道をしっかりと見定めて渾身の両手挟み込みは、むしろ空気の流れを乱して獲物を逃がすだけの結果に終わった。いよいよ手も足も出せないと見るや否や、彼はついに腕を振り回しながら飛び跳ねだしたのだった。
 
 歴史に残るほどへたくそな雨ごいの舞の実例を挙げるとしたら、まさにこれだろう。すっかり意地になった相棒のひとり舞台を眺めながら、ルドヴィック・ドゥリオルグはそんな思いを巡らせていた。彼の指先には、目の前の舞台の幕を上げてしまった原因――フリアンの目と鼻の先でいともたやすく取って見せたアーモンドの花びらがあった。

「なーんで! ぜんっぜん取れないんですけど!」

 息を切らせて手を膝にやりうなだれる相棒へ、ルドヴィックはため息交じりに声をかけた。

「そんな馬鹿みたいに動かなくても取れるだろう。花びらの1枚や100枚」

「まさかっ! どうやって……とっ!」

 そこにちょうど一陣の風が吹いた。へろへろになりながらなおも花びらを追いかけようとするフリアンをしり目に、ルドヴィックはそばに舞い落ちてくる小さな花びらを片手でさっと握りこむ。その様子を見ていたフリアンは驚きの声をあげながら足をもつれさせ、柔らかな草の上に倒れこんだのだった。畳む

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