世界観の説明

特に重要と思われるいくつかの設定についてご説明します。

フェガティアと周辺地域

レムーア大陸の中西部に位置するフェガティア地方は、豊かな水源と肥沃な土地に恵まれた農業地帯。近年では工業化も進んでいる。
イブレガーロ連盟という経済協定に加盟しており、主導都市ユーロメルクスに次ぐ強い影響力を有する連盟の一大食糧庫。
北のピエタール山脈を挟んで隣接しているルザーニィ連邦の各都市との関わりも深い。
イブレガーロ連盟とルザーニィ連邦は、他複数の経済圏が加盟している世界平和連合に参加している。

【地方周辺と都市部の地図】

フェガティア地方地図のサムネイル画像 フェガティア地方地図のサムネイル画像

大戦争以降の歴史

暁告暦元年より100年ほど前のこと。
多くの国が巻き込まれた大戦争のその最中、原因不明の異常気象による大災害と、致死性と感染力が強い疫病の蔓延という、未曽有の大惨事が世界を覆いつくした。
国家という枠組みはあえなく崩壊し、地球は荒廃したが、それでも人類はどうにか生き延びた。
時は流れて現在、暁告暦130年。人々は荒野に点在する都市とその周辺地域に身を寄せ合って暮らしており、その一部は大災害前と比べて遜色ないほどに栄華を極めている。
しかし、大災害を生き延びた後遺症として、苛烈な身分制度や様々な差別が根強く残されており、分断は深刻化している。

新世界の暦 暁告暦(ぎょうこくれき)

ユーロメルクス講和会議でファンタス条約が調印され、世界連盟が設立された年を元年とする暦。長きにわたる争いの歴史と疫禍から脱却し、人類史に恒久的平和という夜明けを告げるという意味が込められている。
しかし、身分制度についての項目で触れられるような諍いは絶えず、平和と平等の実現には未だ至っていない。

身分制度について

暁告暦25年に勃発してから3年に亘って続いた紛争のあと、イブレガーロ連盟の各都市では身分による人員管理制度が広く導入されており、ランクに応じて居住区、受けられる教育のレベル、就ける職業、得られる情報が大きく変わる。
フェガティアでは上から順に枢機審問会議議員>上級市民>中級市民>下級市民とランク付けされる。
また、戸籍や市民権を持っておらず、都市等の生活圏から外れた場所で生活している人々は「不明の者」と呼ばれる。
※各身分の詳しい説明は『用語集』をご覧ください。

通貨

基本単位はレガロで、補助単位はセル。100セルで1レガロに相当する。
記号はRの曲線部分に双線が2本引かれる。1レガロに満たないものは「0.57R」のように表記される。
レガロ紙幣の単位は1、5、10、50、100。セル硬貨は1、5、10、25、50。
紙幣の表面には連盟のシンボルであるレムーアコマドリが、裏面には連盟五大英雄の肖像が描かれている。特殊な抗菌コーティングが施されていて、独特の芳香があり、質感はややプラスチックめいている。
硬貨の表面には数字とミントマーク、裏面には紙幣と同じく五大英雄の肖像が彫り込まれている。

未知の疫病 鱗熱(りんねつ)

極めて高い感染力と致死性が特徴の細菌性感染症。後世で再定義された名称は「汎鱗性壊死菌症(はんりんせいえしきんしょう)」。
気候変動による災害が激甚化してから数年後、突如として世界中で同時多発的に大流行した未知の病。
罹患者は高熱、頭痛、下血、全身の皮膚のただれなどの症状に苦しみ、重篤なショック状態に陥って死に至る。
一命を取り留めたとしても、神経損傷による身体のマヒ、慢性的疼痛、赤黒くてゴツゴツとした皮膚変異などの後遺症に生涯悩まされ、それらを苦にして自らこの世を去る者も少なくなかった。
戦争、激甚災害、食糧難で社会的構造が不安定化し、医療体制の根幹が揺らいでいた時期を見計らったかのような流行により、約5年で全世界の人口のおよそ4分の1が犠牲となったと推測されているが、正確な数を知ることは不可能。
発生当時より抗菌薬が唯一の治療法であることに変わりはないが、時代を経て衛生環境と栄養状況が改善したことや、効果の高いワクチンが開発されたこともあって、新規感染者と犠牲者の数は激減している。

用語集

用語や地名などを網羅的に解説しています。内容は随時追加予定。

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あ行

【あざ持ち(-もち)】

鱗熱感染者特有の皮膚の爛れに酷似したあざを生まれつき持つ者を指す差別語。
あざができる位置と大きさはその人の魂が持つ罪業の度合いを表すと考えられており、中でも顔にあざを持つ者は最も罪深いとされている。

【イブレガーロ連盟(-れんめい)】

レムーア大陸の中心より西側に位置する特定の経済協定圏の名称。
麦の穂をくちばしに咥えて円を描くように両の翼を広げたレムーアコマドリをシンボルとする。
旧王都ユーロメルクスが主導都市で、物語の舞台となるフェガティアのほか、コメンキューム、カスタスなどの都市が参加している。
近年、連盟内では市民による抑圧への反対運動が盛んに繰り広げられており、情勢がやや不安定。

【鱗憑き(うろこつ-)】

あざ持ちの中でも前科を持つなど素行が悪い者を指す、極めて強い差別語。
作中ではほぼルドヴィック・ドゥリオルグの代名詞として機能している。

【円環の会(えんかん-かい)】

自らの尾に噛みついて輪を描く蛇<ウロボロス>をシンボルとする秘密組織。
人類の繁栄を永続的なものとすることが組織としての共有理念で、会員はみな上級市民以上の地位にある。
財貨、権力、知性を正しく継承することによって身分を固定化し、諍いの芽を事前に摘むことで恒久的に秩序を維持することを目指している。

か行

【ガヴェル・カレッジ】

イブレガーロ連盟にある高等教育機関の一つ。
各地の上級市民の令息が13歳から通うことになる全寮制の寄宿学校。技術官僚の養成が主な役目。
連盟内にある同様の教育機関の中でも格式高く、歴史も長い。
政治・経済・行政などの社会科学を共通で学習するほか、適性判断ののちに自然科学や形式科学を選択して学ぶ。
在籍期間は最短で5年、最長では10年に及ぶ。

【下級市民(かきゅうしみん)】

おもに一次産業に従事する肉体労働者。
取得できる情報と職業の選択肢が最も限られており、この階級の家に生まれたものは出身地で一生を終えることがほとんどであった。
しかし、近年流通し始めた秘密新聞によって、外部の情報とかつて世界に存在した平等の理念がもたらされ、自らが置かれている地位が不当であることを知った者たちが奮起。
イブレガーロ連盟のみならず世界連合加盟地域の各地で声を上げるようになり、デモや武力衝突を起こしている。

【暁告暦(ぎょうこくれき)】

ユーロメルクス講和会議で条約が調印され、世界連盟が設立された年を元年とする暦。
長きにわたる争いの歴史と疫禍から脱却し、人類史に恒久的平和という夜明けを告げるという意味が込められている。

【五大英雄(ごだいえいゆう)】

イブレガーロ連盟の五大英雄、医療のクラーテス、豊穣のバームント、智謀のモルデロイ、秩序のディードリヒ、発明のグロシェクを指す。
現在、各英雄のファーストネームそれ自体が枢機審問院の高級役職名となっており、英雄の名を継いだものはそれまでの名前を失う。
後継者は血縁ではなく、実績と能力などを総合的に審査して決定されるため、前グロシェクの血筋がクラーテスを襲名ということも起こりうる。

さ行

【上級市民(じょうきゅうしみん)】

王族や貴族、歴史的偉人の血族、富豪などといった、社会への影響力が強い家柄の人間が生まれつきここにカテゴライズされる。
また、本来は中級市民に位置する医師、弁護士、税理士といった職業に従事する者や、極めて高い利益を上げる商人などが、地方への貢献具合に応じて上級市民に繰り上げられる例もある。
逆に、陰謀に巻き込まれたり権力争いに負けた上級市民は、事実上の中級市民扱いにまで没落することも珍しくない。

【枢機審問会議(すうきしんもんかいぎ)】

フェガティア地方治安維持組織のトップ。上級市民の中でも特段秀でた者が議員となる。
政策の決定や法律の制定などの意思決定のほか、都市運営に対する重大な反逆行為の裁判を執り行う。
議長の席にはバームントの肩書を持つ者が就くのが伝統となっている。

た行

【治安維持局(ちあんいじきょく)】

主に上級市民で構成される公的治安維持組織。管轄はフェガティア都市内。
繁華街の巡回と犯罪行為の摘発を行う都市憲兵隊、イブレガーロ連盟都市の合同組織である連盟執法隊からなる。
汚職がまかり通っているが、状況を見かねて内部告発しようとした隊員は例外なく失脚させられる始末で、すでに自浄作用が機能していない。

【中級市民(ちゅうきゅうしみん)】

いわゆるホワイトカラーの多くはここにカテゴライズされる。
下級市民よりも教育の機会に恵まれているが、与えられている情報は限られている。
困窮している者は少なく、職業の選択も比較的自由な影響か、下級市民が近年頻繁に起こしている平等運動に賛同する者は少ない。
ある意味最も安定し、最も停滞している階級。

【特殊待遇生徒(とくしゅたいぐうせいと)】

省略して特待生と呼称されることが多い。
数年に一度、各地の初等教育機関から見出された下級市民の優秀な子どもが、高等教育機関への入学を許されることがある。フリアン・カレスティアはその一例。
特待生は、それまでに与えられてきた教育資本や基礎教育の質の差などから、入学後には苦労することが多く、他の学生たちから恰好のいじめの的にされてしまう。
この制度は約50年前から導入されており、少しずつ対象者の条件を緩和しながら存続しているのだが、そこまでしなければならない理由については一部の上流階級者を除いては誰も知らない。

な行

【呑み得ざるもの(の-え-)】

作家ジャルダン・リータウローズの寓話集の中の1作品。大戦争よりもさらに前の時代に発行されたもの。
欲望の魔石を飲み込んで飢餓の怪物と化した小さな蛇が、飽くなき欲望がために姫君の忠告を聞き過ごし、最終的には自らの身を亡ぼす。
発行当時、リータウローズの祖国は帝国主義最盛期だったため、彼はこの物語によって暴力による支配を暗に批判したというのが後世の評価だが、実際のところはよくわかっていない。
少部数ながら絵本版が存在している。

は行

【秘密新聞 レス・ノワエ】

上級市民たちの不正を鋭く告発し、様々な都市の反抑圧運動や民主化運動を取り上げている新聞。発行元は不明。

【辺境警備局(へんきょうけいびきょく)】

主に中級市民の志願者が配属される公的治安維持組織。管轄はフェガティア都市外。略して辺警とも呼ばれる。
農地と荒野の境界を監視する境界警備隊、略奪隊などの侵入者との直接戦闘を行う機動隊、都市内部に病を持ち込ませない防疫隊の3部門からなる。
フェガティア旧市街地巡回も担当している。
治安維持局から危険地域であるフェガティア旧市街地の巡回業務を押し付けられており、強い不満を抱えている職員は少なくない。

【訃告の嘴団(ふこく-くちばしだん)】

フェガティア周辺の荒れ地を縄張りにしている過激な武装組織。構成員は全員不明の者。
輸送車の襲撃や略奪を生業としており、大金を積まれれば暗殺などの汚れ仕事も担う。
ムンミャ傭兵団とは敵対関係にあり、彼らとつながりを持ったフリアンのことを憎悪している。

【父母教(ふぼきょう)】

イブレガーロ連盟およびレムーア大陸全体で広く信仰されている双性的一神教。
シンボルは万物を包み込む二つの手を模す底の抜けたスプーン型で、簡略化して円形で表されることもある。
古くは主流だった慈悲派、現在の最大勢力神罰派、教会と信仰の在り方そのものを疑う急進派など、いくつかの派閥が存在する。
現在は「戦争と虐殺という大罪によって異常気象と疫禍という罰を課された我々は、己を厳しく律し、父母に償わなければならない」という理念が広く共有されている。
日曜日の午前には祈りの会が開かれ、父たるパンと母たる水を参加者全員で分かち合う儀礼が執り行われるが、罪の証を持つあざ持ちは席が分けられ、鱗憑きは参加することができない。

【不明の者(ふめい-もの)】

食糧難の時代に共同体から脱落したまま、復興の流れから零れ落ちてしまったアウトサイダーたちの末裔。
荒野で輸送車を襲撃する訃告の嘴団のような略奪隊となる者たちもいれば、用心棒として日銭を稼ぎながら社会とかかわろうとするムンミャ傭兵団のような者たちもいる。
イブレガーロ連盟のさらに外側に広がる世界全体の人口比率で見ると、実はもっとも多く存在する立場の人々。

ま行

【ムンミャ傭兵団(ーようへいだん)】

フェガティア近郊の荒野にある放棄工場をキャンプにしている不明の者たちの武装組織。構成員はみな陽気。
傭兵団の象徴たる首領は活動的過ぎてケガが絶えず全身に包帯を巻いているので、彼の見た目を指してムンミャ(ミイラのイタリア語読み)を団体名に冠している。
暁告暦128年にフリアンと協議し、キャンプの住民に食料等を援助してもらう見返りとして、エイツ周辺を警備するようになった。状況に応じて辺境警備局とも連携する。
訃告の嘴団とは縄張りと資源をめぐる敵対関係にある。

や行

今のところ無し!

ら行

【レムーア大陸】

イブレガーロ連盟、ルザーニィ連邦など、物語の主要な舞台となる地域が存在する大陸。

【レムーアコマドリ】

レムーア大陸全土に分布する非常に身近な小型鳥類。
体長は14cmほどで、スズメくらいの大きさ。雌雄同色。
丸みのある栗色の頭部と白い頬、灰褐色の翼を持つ。
成鳥はくちばし周辺から喉元にかけての羽衣が赤く染まり、よく目立つ。

【連盟自動車道(れんめいじどうしゃどう)】

イブレガーロ連盟全体に張り巡らされている道路網。管理者は連盟運輸交通安全委員会。
下級市民らと治安部隊の衝突が絶えない中、治安の不安定化に乗じた輸送車襲撃事件が相次いでおり、特に連盟中央以南の道は危険。

わ行

今のところ無し!
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